編集人の所作 2014

 
 
2014.01 発表する

 
2006年8月リリースのTORCHから75か月。MOUNTAIN&ISLANDにとって本当に久しぶりの作品が完成した。うっちーと二人編成になって10周年を迎えた2013年。原点に立ち返り、ピアノとボーカルで故郷を綴る「とおくふるさと」。大学1年のときに書き綴った作品を編曲し、歌詞を再考した。時代がスピードを上げて移り変わる中でも、穏やかに時間を流している故郷の海のように、変わらないであり続ける。そんな存在の作品になればいい。

 
 

 
 
2014.02 溢れる

 
3年くらい前まで演奏させてもらっていた下北沢ビッグマウスへ。聡子さんのソロを観るのは5年ぶりくらいか。セットリストにはもう知っとる曲ないじゃろうのーって思っとったら「今日は懐かしい人が来てくれたので」とcafe latteを演奏してくれて、なんか当時の記憶がブワッて溢れて。つくづく音楽ってええのって思った。あの頃と変わらず迎えてくれた田井さん、ビッグマウスありがとう。聡子さん、彬子、素敵な夜をありがとう。

 
 

 
 
2014.03 片付ける

 
引越し後3か月経過。未だ20箱の段ボールがそのままになった部屋からは目をそらして、自分の書斎となる部屋から着手。木を編んだ照明から漏れる光と影が森を形成し、リラックス効果抜群。さらに引きこもりが加速してしまう。近くに隕石が落ちても、効果を発揮しそうな壺を売り歩く商人が訪ねてきても、アメリカ大統領が最寄り駅に来ているという噂が流れても、この部屋から出ないと言えるほど、心地よい。いや、やっぱり隕石は出掛ける。

 
 

 
 
2014.04 洗われる

 
HARU」とのちゃんの展示へ。16時まで先約が長引き、清澄白河までの路線検索で1時間半。着いたら17時半か。明日も朝早いし。海深く沈みそうな心を撒き餌か何かで釣り上げ、AIRA 256 TOKYOへ到着。デザイナー堤さんの繊細なジュエリーと、とのちゃんの柔らかい絵に心を洗われた。「もの」が誕生するアトリエ内まで見せて頂き、缶ビールまで頂き、興奮した私はいつもの有様。別れの続く今年の春に、新しい出会いと「もの」の芽生えに触れ、前向きな気持ちになった。

 
 

 
 
2014.05 食す

 
ホテルオークラの山茶花へ。人生初の鉄板焼きを体験してきた。上品な空間に似ても似つかない私。赤ワインを流し込み、緊張感を誤魔化す。目の前の鉄板で焼かれる伊勢海老。人間、本当に美味いものを食べると黙り込むのだろうか。口に広がる上質で芳醇な香りに話すことを忘れていた。ワインは進み、メインの神戸牛入場の時間。興奮の顔色を隠せない私に、撮影のタイミングを教えてくれる粋なシェフ。ご馳走様でした。

 
 

 
 
2014.06 継続する

 
ロンドンパラリンピックに陸上日本代表として参戦した多川。100m1116の日本新。ロンドンの記録にあてはめれば、銅メダル!肉体のピークは25歳くらい。仕事と陸上の両立は難しい。負の声に屈することなく、限界を決めず、直向きに継続することのすごさ。結果がついてこなくとも、やりたいことをやり続けようと切に思った。多川、おめでとう!!

 
 

 
 
2014.07 組み合わせる

 
駅のホームで見てずっと気になっていた「どうぶつの名前博覧会」に行ってきました。手作り感が満載であったかい展示でした。たくさんのコーナーがある中で発見した、空想の名前を作ってみようという趣旨のもの。文字の書かれたアクリル板が所狭しと並んでおり、興奮した私は、子どもに譲ることもせず、板を組み合わせて、一番ひどい名前をつくることに熱中。「チビビビリゴミムシモドキ」が完成しました。たくさん作ったのだが、横で妻が1つだけつくった「ネクラフトオシリ」を見て、私はひっそりと敗北の涙を流した。

 
 

 
 
2014.08 教わる

 
尊敬する祖父が退職直前にお土産でもらった下駄を見て、見様見真似で作り始めた下駄。今日は桐の木の状態から、完成するまで見学してきた。下駄作りについて始めた質問は、幼少期や戦時中のこと、祖母との出会い、今思うこと、そして、私に代表されるかわいい、かわいい孫について、100に及んだ。150歳まで生きると豪語する祖父80歳。まだまだ折り返し地点を過ぎたばかりである。

 
 

 
 
2014.09 産む

 
自身2作目のアンビエントアルバム「touch on Jioufen」。旅で訪れた台湾九份に感銘を受けて、綴り始めた作品が、5年かかりようやく完成した。創作から3年、9曲を書き上げたが、核となる2曲がなかなか表現できず、いたずら2年が経過。写真を観てはイメージし、九份の位置する瑞芳区の「瑞」を題材にした曲と、九份に降る悲しい雨を描写した「雨」が出来上がった。眠れない夜は寝室にこの1枚を。

 
 

 
 
2014.10 舞い込む

 
居酒屋で知り合い、12年。学生時代は毎月のようにライブに参戦し、寝ゲロの介抱をして頂いたり、財布を拾って頂いたり。沢山迷惑とかゲロをかけた。THE RAIDERSが地元の兵庫に帰ると聞いたときは、心に大きな穴が空いた。あれから5年が流れ、東京遠征の話が舞い込んできた。私は小さくガッツポーズをした。ストレートなロックとその音楽に対する真面目さが、あれだけの人を惹きつけているんだなぁ。音を聞きにくるだけじゃなくてそこに行けば仲間に会える。そういう場所を作れるTHE RAIDERS、愛してます!

 
 

 
 
2014.11 入り込む

 
人生初の東北の地へ。民俗学発祥の遠野には、古きよき日本を映し出す里山の風景と、その土地を吹く風にも神様が宿っているような凛とした空気があった。
オシラサマ、河童、座敷童、マヨヒガ、コンセイサマ、語り継がれた多くの物語に包まれた神秘的な遠野で、野生の熊に遭遇し、かいたことのない汗をかきながら、出したことのない記録的なスピードで山を駆け下り、かくして旅は終焉を迎えた。

 
 

 
 
2014.12 集う

 
新築で初のホームパーティ。ピアノの相方うっちーが、実家に戻ると話していた2014年。お別れ会を開こうとしていたが、一向に戻る気配がない。この現状を逆手にとって開催された「うっちー早よ帰れや会」。皆、東京に来てから、音楽を通じて知り合った仲間で、頗る居心地がいい。あっさり酔っ払い、ずっこけた私は、ガラステーブルに全身で倒れ込み、粉砕してしまうのであった。

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