編集人の所作 2015

 
 
2015.01 当たる

 
明けましておめでとうございます。昨年12月は、生まれて初めての追突もらい事故、結婚式2次会抽選でのノンフライヤー獲得などよく当たって締めくくった年でした。今年は、食あたりくらいで済むように、穏やかに暮らしたいものです。しかし今年は激動の年らしい。どんな状況に陥っても、どんなに心躍る瞬間が訪れても、この写真のように沈着冷静に涼しげな顔で相対したい。

 
 

 
 
2015.02 笑う

 
ピリピリとしたオーラを放ち、話しかけるなと云わんばかりの強張った顔。疑義が生じた場合の対応は、今までのイエスマン的清濁併呑態勢から、裸子植物的に敵意むき出し、牙むき出しの臨戦態勢へと変わり、愈々ブラックしょうへいと呼ばれるようになった。環境でこんなにも人が変わることを知り、このままでは自分をキライになってしまうと思った私は、しばし実家に戻ることにした。よかった、おれはまだこんなに素敵に笑えるんだ。

 
 

 
 
2015.03 加速する

 
放蕩息子はじめました。いや、厳密に言えば、31年間ずっとだ。先月、実家に戻った際、父が徐に「りか(私の妹)と分けて使え!」と云い、机に札束を置いた。自分の退職祝い金から、100万円をくれると云うのである。放蕩息子は更にスピードを増し、父への恩返しも忘れ、迷いのない澄んだ瞳で、ずっとほしかったミラーレス一眼レフを購入した。ああ、おれは馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。でもそんな自分が好きなんだ。

 
 

 
 
2015.04 呑む

 
今月は大学時代からの友人とホームパーティーで呑み、職場の後輩と競輪場で賭けながら呑み、職場の後輩夫婦と初なのに記憶をなくすほど呑みました。小学生がよくつくる膝や肘を擦りむくケガをしたり、町も眠ったあと人知れず吐いたり、お気に入りの2万円のズボンが破れるまで動く、こんな酔っ払いの相手をしてくれる素敵な仲間に囲まれて幸せであります。皆様、本当にありがとうございます。

 
 

 
 
2015.05 揃える

 
ドラム、エレピ、そして、雨の音。現在制作中の新しいアルバム「どこかの国のスコール」に必要な音が揃った。5年前くらいにふと思いついたタイトル。ジム・キャリー主演「イエスマン」の離婚し、ひとり身になり塞ぎ込んで生きている主人公に自分を照らし合わせて生まれた。疲れきって帰る週末、テレビに映る大自然をテーマにしたドキュメンタリーをボーっと眺める場面を描写したい。まだ3曲。年内に完成させたい。

 
 

 
 
2015.06 もてなす

 
両親が東京へ。放蕩息子は、臨時収入の恩義をせめて食事でと、深大寺の日本料理水神苑を予約した。昼間からのお酒、上品で美しい料理、窓の向こうに広がる庭園、他愛もない親子の会話。素晴らしいひと時を過ごした。会計に向かうと、母に抑止され、恩義を果たせず、それでは、臨時収入で得たミラーレス一眼で思い出を電源を入れた液晶画面には、メモリーカードが入っていませんの表示。おれは、バカだ。

 
 

 
 
2015.07 撮る

 
またひとつ歳を重ねてしまった。外国人旅行客に囲まれ、東京タワー、レインボーブリッジを1時間かけて周遊するはとバスツアーに初参加。都会の風を感じる開放的な空間に、先日、父からの臨時収入により入手したミラーレス一眼を持ち込み、何枚も何枚も撮る。そのカメラを手に入れるために1万円札が何枚も何枚も必要だったように。夜を迎える少し前、塔は格別に美しかった。

 
 

 
 
2015.08 太る

 
過密スケジュールの合間を縫って実家へ逃避行。ピンと張った体の弦を緩めるには実家に戻って家族や幼馴染に会うのが一番いい。溜まったストレスと脂肪を一気に消化してやるぞと意気込んだ今回の帰省。10キロ増の爆弾を抱えた体は、代謝が悪い。燃費が悪い。ルックスが悪い。こらーっ!ルックスは余計じゃろーが!?…ん?そうか、痩せればカッコいいのに♡ってことか?痩せよう!痩せてみせよう!おじさんは決心した。

 
 

 
 
2015.09 懐かしむ

 
先月までの激務がついに終わり、いらないものや衣類で倉庫と化した書斎を片付けることにした。片付けを始めるとなぜ人は道草を食うのか。酔っ払うとなぜ人はラーメンを食うのか。どちらも無性に欲するのだ。高校時代につくったアルバムが埋もれた山から出てきたので、早速コンポで再生。溢れ出すあの頃の記憶と、今の自分よりはるかに「音楽」を体現していることに嫉妬を覚える。超える!超えてみせる!おじさんは決心した。

 
 

 
 
2015.10 再会する

 
大学1年の夏まで同じサークルで、サークル主催の夏祭りで一緒にタコ焼きを焼いていたみちこと12年ぶりの再会を果たした。料理研究家になり、ワインに合う料理を提供するイベントを行うということで、新宿伊勢丹へ。お行儀よく、優雅に堪能し、少しオトナになった気分でしたと締めくくれないのが筋金入りのバカ、渡部祥平。大学時代を懐かしむんだと連れまわされる後輩。結果はいつもの呑みすぎ。ごめんなさい。

 
 

 
 
2015.11 展示する

 
人生初となる展示「どこかの国のスコール」展を開催。戸野晴奈の絵画、戸野香のアクセサリーに、2012年から書き始めた眠れる音楽を合わせ、3人で癒しの空間を演出した。3人の目指すべきものが似通っていたからか、スムーズに空間づくりは進み、何度も自画自賛する素晴らしい展示になった。来て頂いた方から、去り難いとか、全ての要素がマッチしているとか、心から嬉しい言葉を貰った。次は地元でやりたいのー!

 
 

 
 
2015.12 描く

 
黒のサインペンで動物を書く。絵は小学生時代をピークに上達していない。図書館で図鑑を借りてフォルムを勉強したり、実物を撮影し、その写真を観ながら輪郭を抽出する。そこに、眠たそうな目を描き、命を吹き込む。この目も小学生の頃から描いているもので、何も足し引きしていない。これを成長が止まっていると見るか、小学生時分の私を神童と捉えるかは人それぞれだが、私はこう思う。成長が止まっている。

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