編集人の所作 2017

 
 
2017.01 結ぶ

 
今年の初旅は島根へ。晴れ男の異名を持つワタナベをもってしても山陰の曇天には敵わなかった。しかしながらそれは好都合となった。霰まじりの雨の影響でどうですか皆さん!この下り参道!誰一人居ない出雲大社を見たことがありますか?!図らずも縁結びの地に鎮座する出雲大社で初詣をすることになり、石見銀山で出会ったガイドさん、神社の総代さん、松江の日本料理屋の店員さん素敵なご縁が散りばめられた頗るいい旅となった。

 
 

 
 
2017.02 ゾッとする

 
不思議な夢を見る。これからいっかくじゅう座の観測ツアーに参加するらしい。否を仄めかす反応の鈍い顔、少し蔑んだような冷酷な薄ら笑い、登場人物の表情が繊細でゾッとする。夏目漱石の夢十夜のように夢を題材にした物語を綴ってみたい。あぁ篭りたい!温泉宿に1か月篭りたい!!

 
 

 
 
2017.03 ひっかかる

 
人間ドックでついに引っかかってしまった。肝腫瘤の疑い。下手したら癌だ。皆目見当がつかないが、原因はもしかしたらあれだ、呑みすぎだ!呑みすぎだ10数年間の蓄積だ。健全な体を取り戻すための計画を立てなければ。よし、呑みながら真剣に考えよう!休肝日との初陣じゃー!!

 
 

 
 
2017.04 保養する

 
数えること5回目となる梅ヶ島温泉おもいでの宿へ。私はこの場所へ行くことを「旅」とは云わず、「保養」と云う。語意のとおり、からだを休ませて、健康を養う。それは、かぜをひいたときの安静に限りなく近い。帰り際に店主から、京都清水寺の貫主が泊まりに来たことを聞いた。その年の世相を一字で表す「今年の漢字」を揮毫する京都清水寺の貫主の森清範も浸かった湯、呑めばよかった。

 
 

 
 
2017.05 歩く

 
幼い頃の記憶を辿りながら地元を歩く。じいちゃんにこんなにも美しい表情を持った場所の歴史を教えてもらいながら一緒に歩きたかった。2017年5月17日午後6時5分、最愛の祖父が他界した。人情に厚く、社交的で、責任感が強く、勇敢で、人のため地域のために身を尽くす素晴らしい人だった。教わりたいことは山ほどあったのに、病床の期に、この気持ちに気付く自分を呪いたくなる。これが恩返しになるかは分からない。ただ、祖父の「想い」を心に留めて精一杯生きるしかない。

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