私は、萬収集家「ワタナベ」。
名前は、まだない。
いや、ある。そこはかとなく苗字だ。
ここは、私の書斎。
今までに遭遇した全事件記録を収蔵してある。


事件簿その11|ゴレンジャー事件


大学1年。
私は憧れの早稲田大学に入学し、人生初の早慶戦を迎えた。
私はサークルで観戦に行ったのだが、
このサークルには、観戦するための厳格な掟があった。
当時は主力に和田毅、青木宣親、鳥谷敬など、
後にWBCのメンバーに選出される選手を擁した、
強力なチームであった。
その日も圧倒的な強さで優位に立ち、
観客席は異様な盛り上がりを見せていた。
その映像は私の地元、広島でも放映されていた。
私の家族も「しょうへい、映らんかのー。」と、
録画までして、眺めていた。
私を見つけようと何回もビデオを見るうちに、
ゴレンジャーに変装した5人組が目立つ。
母は思った。
「早稲田まで行ってもバカはおるんじゃねー。」
・・・。
それ、おれ!
そのアカレンジャー、おれ!
母さん!その元気な赤、おれ!
私が入ったサークルの掟とは、
「仮装して観なければならない。」であった。
あのときの母の驚きは忘れられない。


事件簿その12|52円の処理要求事件


2007年10月、
不意に事件は起きた。
近所のコンビニに行ったときのこと。
ビールとつまみを買い、452円のお会計。
私は1,000円を差し出した。
端数の小銭があるかどうか確認をすると、
50円も2円もない。
しかし、
奥のほうで500円玉が光っているではないか。
1,000円を戻し、500円玉をレジに置くと、
店員と私の5秒間の沈黙が生じる。
そして、事件は起こる。
通常なら「500円、お預かりします。」と展開されるはずだが、
店員はその沈黙を一言で打ち破る。
「と?」
500円だけを置いた私に52円の処理を強引に要求する。
「500円&!?」
と言わんばかりの表情で。
私は急な一文字責めに、
客に対する失礼な言動を正す気力を失い、
「ああ、細かいのないです。」
と言うことしかできなかった。
店員は、渋々10円玉4枚、5円玉1枚、1円玉3枚の
面倒くさいお釣りを渡してくれた。


事件簿その13|さくらんぼティー事件


(2008年11月の事件記録)
最近、イベント続きで体が疲れている萬収集家「ワタナベ」。
イベントが先行し、思うように収集できていない。
これでは、ただの「ワタナベ」である。
疲れのせいか、先日、ファミリーマートで、
パックの飲み物を購入しようとしたところ、
「さくらんぼティー」が、
さくらんボディー・・・
錯乱ボディー!!?
思わず二度見してしまった。



事件簿その14|赤福事件


2008年4月、三重県を旅行中事件は起こった。
旅の最終で訪れた伊勢神宮の内宮。
神聖で、荘厳な空間に息を呑む。
太陽を神格化した神、天照大神を祀った内宮。
これだけでも、グッとくる。
また、内宮に向かう道にそびえ立つ大木が胸を劈く。
参拝を終え、何かいいことが起こりそうな予感がした。
おかげ横丁に寄り、お土産を物色。
ここには、少し前に賞味期限の問題で有名になった、
赤福の本店があるそうだ。
発見!!


 
店の前には長蛇の列。
店員のおじさんが行列の前に立ち、
4つのカウンターに振り分ける。
待つこと10分。ようやく順番が来る。
ここで事件が起こる。
おれ:「すいません。月曜日まで(賞味期限)もちますか?」
店員:「すいません。お客さん。ちゃんと並びましたか??」
えーーー!!?
えーーー!!?
並んどったじゃん!!
そこのおっさんが確認して振り分けたじゃん!!!
ってゆうか、
お前に疑われとーないわい!!!
何か、いいことが起こりそうだったのに。
4月5日、
私は、
食品偽装した店の店員に疑われた。



事件簿その15|ザ・リッツカールトン東京事件


2008年9月、最愛の女性の誕生日にも事件は起こってしまう。
彼女が行きたいと言っていた最高級ホテルのリッツ・カールトン。
ここに宿泊することをプレゼントに決めた。
とは言ってもかなり高い。
役立ったのが高級ホテル予約[一休.COM]。
通常だと室料だけで1泊10万のホテル。
7万のカップルプランを発見!!
彼女も喜ぶだろうとその日を待ちわびた。
宿泊当日、休日には着たこともない、なめられてたまるか的スーツで出発。
六本木に着いたところで、彼女は私の気合十分の服装も手伝って、
「あれ?もしかしてーー!?」的な雰囲気を醸し出す。
悠々と歩きながら、ホテルのエントランスをくぐり、
53階のスイートルーム専用のラウンジにゆったりと腰を掛ける。
ラウンジには、外国から出張で東京にきたスーツマン、
リッチそうな老夫婦。
静かな空間で、上品な時間が流れていた。
チェックインの手続が始まる。
「お支払いはカードですか?現金ですか?」
「あ、現金でお願いします。」
私はすぐものをなくすので、キャッシュカードは外に持ち出さない。
「かしこまりました。」
このあと大事件が起こる。
「デポジットを含めまして、12万頂きます。」
「え!!??」
私は、生まれてから25年間で1番大きな
「え!!??」
を繰り出した。
一瞬でラウンジ中の視線を受ける。
私の手持ちは、9万しかない。
「ないです!ないです!」
「そうですか。では、10万で結構です。」
10万がないんじゃーーー!!!
そして、この決めたスーツどうしてくれるんな!!
決まりが悪いじゃなーか!!
結局、私は、彼女から1万を借り、
10万を支払った。
これから高級ホテルに最愛の女性をエスコートするつもりの男性、
私が恥をかいて得た情報をぜひ、有効に活用してほしい。
たとえば薬を買ってきてほしいだとかの要望を伝えた場合、
先に預けたお金から薬代を引き、
チェックアウトの際に、追加で料金をとらないようにするシステムだそうだ。
要するにこうだ。
クレジットカードを持つこと、または、
かなり余分に現金を持つこと。
それにしても、冷や汗をかいた。