私は、萬収集家「ワタナベ」。
名前は、まだない。
いや、ある。そこはかとなく苗字だ。
ここは、私の書斎。
今までに遭遇した全事件記録を収蔵してある。


事件簿その41|重要参考人うめちゃん その9


高校1年、
放課後、なかなか部活に出てこないうめちゃん。
出てきた瞬間に、こうちゃん、りくや、私に責められる。
「おい!お前、何しょーったんな!!」
間髪入れず、うめちゃんはこう言う。
「あ、バーベキュー大会しよーた。」
「ちゃんと言えや!!」
さらに責められたうめちゃんは、絶妙の間でこう答えた。
「…あ、バーベキュー大会2しよーた!」
誰が正確に言えーゆーたんな!!
3人の怒りは、
この陳述にあっけなく鎮まった。


事件簿その42|重要参考人うめちゃん その10


2007年、うめちゃんが、ニュースを観ていたときのこと、
昨今のスピリチュアルブームを利用し、
霊感商法を巧みに操った団体、
「新世界」が詐欺容疑で神奈川県警に一斉捜索を受けた事件が流れた。
「ライセンス」と呼ばれる「神力」と書かれたお札1枚が、
なんと52万円。
うめちゃんは、この事件を受けて、こう呟いた。
「安い!!」
人の価値観とはこうも違うものか。
今から、うめちゃんの部屋に「神力」と書いて、
お札を貼りにいこう。


事件簿その43|重要参考人うめちゃん その11


関東の方は「吉田ヒロ」という芸人をご存知だろうか。
「まゆげボーン!」
ときたら、「ああ、聞いたことある。」という方がいるかもしれない。
東京に来てカルチャーショックだったのが、
吉本新喜劇が放送されていないことだった。
この吉本新喜劇に出演している「吉田ヒロ」の登場ネタで、ドアの前に立ち、
「♪開けて~閉めて~開けて~閉めて~
開けて~閉めたら、
入れな~い!!」
という度肝を抜くネタがある。
2007年のある日、家のお風呂が壊れたといって、
うめちゃんとうっちーが私の家に泊まりにきた時のこと。
朝6時半に起きなければいけないにもかかわらず、
夜中3時、うめちゃんは突然、床に就いた暗闇の中で、
こう歌い始めた。
「♪開けて~閉めて~開けて~閉めて~
開けて~閉めたら、
疲れた~!!」
そもそも、入る気がない。
うめちゃんは、そう言って、深い眠りについた。


事件簿その44|重要参考人うめちゃん その12


正月、高校の飲み会のあと、
飲ませてもらえなかったうっちーの運転で私の家に戻り、
りくやとうっちーが眠りについたあと、
うめちゃんと私は目が冴えて寝れないでいた。
そこで、私はいつものような展開で、こう切り出した。
「うめ、道路標識で『200』っていう標識が新しく追加されたんじゃけど、何?」
うめちゃんはこう答えた。
「この標識から200メートルの区間、眺めがいい。」
続いて、こう答えた。
「この標識から200メートル前、実は危険地帯だった。」
そして、こう答えた。
「この標識の棒の部分は、深さ200メートルまで刺さっとる。」
うめちゃんの解説によると、この標識を見たら、
取り除く場合、引っこ抜くより、切ったほうが早い。
という意味の標識だそうだ。
初めから刺すなや!!
何で己が刺さって、己の説明しとんな!
うめちゃんにはいつも期待を裏切られる。
突拍子もない発想で。


事件簿その45|重要参考人うめちゃん その13


2007年、年末をうめちゃんの家で過ごしていた。
その日は、夜中、お題を出し続け、朝4時半を回った。
私はうめちゃんに
「洗濯機の新機能は?」
と尋ねた。
うめちゃんは、ウトウトしながら、
「裾なおし…」
と言い、眠りについた。