私は、萬収集家「ワタナベ」。
名前は、まだない。
いや、ある。そこはかとなく苗字だ。
ここは、私の書斎。
今までに遭遇した全事件記録を収蔵してある。


事件簿その31|LEGEND OF K.O.事件その11


これは、こうちゃんの伝説を一部始終見届けた友人からの話。
関西の大学に入学したこうちゃん。
やはりどこにでも新歓はあるようで、
その日は、高校からの友人と、
別の大学の新歓に紛れ込んで楽しもうという話になった。
ただ、少し人見知りなこうちゃんは、酒を飲まないと飛び込めないということで、
紛れ込む前に、飲み屋で飲んでから乗り込もうということになった。
京都では、鴨川にたくさんのサークルが集まるらしい。
そこにこうちゃんは飛び込んだのだが、
すでに、先ほどの飲みで記憶がなくなり、気持ちよくなっていた。
こうちゃんは、30分ももたずに、
鴨川と並列して、仰向けで寝始めた。
両手を組み、ヘソを隠し、足先までピンと伸ばし、寝始めた。
身長183cmの幅を取って。
込み合っており、迷惑なので、友人3人がかりで叩いたり、揺さぶったり。
びくともしない。
一人の友人がコンビニで2リットルの水を2本買ってきて、
こうちゃんの全身にかけた。
まだ肌寒い3月の終わりに。
しかし、びくともしない。
タクシーに乗せ、近くの友人宅まで送ろうと決意した。
3人がかりでこうちゃんを抱え、
タクシーを見つけるが、
こうちゃんがビチャビチャなので、断られ続ける。
30分後、ようやく1台の車が、了承。
条件は、ビニールシートを座席に敷く。
また、先ほどのコンビニに向かい、
花見用の青いビニールシートを座席に敷き、
何とか、友人宅に到着。
4リットルの水でビチャビチャのこうちゃんは、
浴槽に寝かせつけられた。
30分くらいたったころ、事件は起こった。
浴室から、水の流れる音が聞こえる。
笑いながら、友人が駆けつけたところ、
こうちゃんが、シャワーを浴びている。
服を着たまま。
10分くらい浴びると、浴室から音が止まった。
友人が朝方目を覚まし、浴槽のこうちゃんに声をかけると、
こうちゃんはこう呟いた。
「さむい。」
その後、3人の友人に怒られたこうちゃんは、
まだ肌寒い春のはじまりに、
パンツ1枚で、近くのコンビニに行き、
ざるそばを3つ買ってくるという任務を負わされた。
こうちゃんは、
「それで皆が許してくれるなら・・・」
と部屋を飛び出して行ったらしい。
彼の伝説は、終わらない。


事件簿その32|LEGEND OF K.O.事件その12


伝説の男、MR.エピソードこと、こうちゃん。
今回の事件は、2008年に起こった。
友人の結婚式に招待されたこうちゃん。
結婚式当日、式が始まってもいっこうに現れないこうちゃん。
不安になった友人けんちゃんがこうちゃんに電話を入れる。
「ごめん、あと2キロ!!」
ゼーゼー、ハーハーと苦しそうな息が電話越しに聞こえてくる。
式会場に走っているんだと察知した友人けんちゃん。
「もう式始まっとるで!何しよったんな?」
ここで大事件が起こる。
「ゼーゼー、ハーハー、
・・・マラソン。」
何で結婚式当日の午前中にフルマラソン!!??
どんなダブルブッキングな!!!
「あと2キロで完走じゃけん!!」
やかましわ!!!
昔から先輩にかわいがられるこうちゃん。
今回も先輩に言い寄られ、断れなかったらしい。
式も3分の1が経過し、お色直し。
新しいドレスで着飾った新婦と新郎が入場。
さらに大事件は続く。
このタイミングでこうちゃんが新郎新婦の背後から、
先ほどの着替えが詰まっているであろう大荷物を抱えて、
堂々の入場。
事件は終わらない。
その後行われたビンゴ大会で、
優勝。
1キロのステーキ用牛肉をゲット。
やはり、彼は神なのだろうか。


事件簿その33|重要参考人うめちゃん その1


そろそろ、彼の話も始めようか。
彼の名前はうめちゃん。
うめちゃんとは中学からの親友。
おもしろくなりたい、人を笑わせたいと私が強く意識したのは、
中学でうめちゃんと出会ってからだと切に思う。
文で伝わるかどうか分からないが、珍事件報告として頑張りたい。
こうちゃんのようなエピソードではなく、
うめちゃんは話の中からの展開、切り替えし、発想に長けている。
では、こんな私の尋問から生じた、うめちゃんの陳述で幕を開けたいと思う。
これは、高校2年の修学旅行のとき。
北京動物園を散策しているとき。
私はこう尋ねた。
「いろんな動物がおるのー。ねえ、うめちゃん!
世界で一番強い動物って何なんかね??」
うめちゃんは、照れながらこう答えた。
「え?おれじゃないだろー!!」
誰も疑ってはいないし、
おそらく、世界一強くはない。


事件簿その34|重要参考人うめちゃん その2


うめちゃんの家に遊びにいったとき。
私はテーブルの上にたんまり積まれてあるミカンを見つけた。
そして、こう尋ねた。
「おお、めっちゃミカンあるじゃん!食べてええ?」
うめちゃんは、こう答えた。
「ええで!何個食べても300円じゃけん。」
突然の食べ放題スタート。
私は、どうしても手が出せなかった。
そして、初めて、
ミカンを遠くに感じた。


事件簿その35|重要参考人うめちゃん その3


中学1年。
私たちはお笑いブームだった。
祖父にテープレコーダーを借りてラジオ番組を収録したり、
漫才のネタを考えたり。
昔からプロの真似事が好きなようである。
その中で、泊まりになると、笑点のように、
お題を出してボケるということが習慣になっていった。
その中で強烈に印象に残っているのが、
私の出したお題、いや尋問、
「サッカーの観客数が伸び悩んでいます。何で?」に対して、
「芝生が肩くらいまであって試合がよく見えない。」
「マラソンの給水地点に、水に代わって置かれるようになったものは?」に対して、
「金メダル。」
うめちゃんの陳述には、キレがある。